大好きな本
ヒコーキの心 佐貫亦男/おおば比呂司  昭和49年(1974)8月31日発行 講談社
ヒコーキの心 昭和50年2月25日発行   続々 ヒコーキの心 昭和51年12月20日発行

著者紹介 佐貫亦男 (さぬき またお)
1908年秋田県横手市に生まれる。
東京大学工学部航空学科卒業後、第二次世界大戟中はドイツへ留学。
戦後、気象庁勤務から東京大学教授に転じ、現在、日本大学理工学部教授。
専門は航空工学だが、簡潔で美しい文章には定評があり、随筆『 とぶ──引力とのたたかい── 』 で第十七回日本エッセイストクラブ賞を受賞。
『発想のモザイク』 (中央公論社)、「飛行機の本』 (光文社)など著書は数多い。またカメラ、山歩きなど趣味も広く、その方面でも大いに活躍している。
本誌より

句読点一つにまで、ヒコーキへの暖かい眼差しが注がれている佐貫さんの文はそれだけでも、十分に楽しい、すばらしいエッセイだが、その閃きの表題がおもしろい!(空飛ぶ小便つぼ 助六的飛行艇 御家人剣法 ・・・・)。
そこにおおば比呂司さんの挿絵が入った。
単純な線の中に実機の特徴をくまなく表現したヒコーキ大好き画家おおば比呂司さんの挿絵もこれまた大好きだが、佐貫さんのユニークな表題を小さなイラスト・カットとして文頭に載せてある。作家と画家の相思相愛も感ずる贅沢な構成だ。
お二人によって伝説のヒコーキと設計者は鮮やかによみがえった。何度読んでも、眺めても飽きない!!
h20/7/29 編集継続中

1
は し が き (抜粋)

私の心の中ではいつでもヒコーキが小さい唸りをたてて飛んでいる。それがいつの間にか離陸の大爆音に変わり、雲間へ消えるささやきとなる。ときには、雲間からまた現われて、カタカタと機銃を撃ったり、ズシーンと腹にこたえる爆弾の音をたてる。戦争はつらい思い出だが、歴史はかくしようのない事実である。それをどのように受け止めるかはその人の心による。

この心のヒコーキをペンで追い、おおば比呂司先生の筆で絵にしていただいたのがこの本である。ペンでは迷い、はっきりしなかったイメージが、筆によって新しい生命を得て、いきいきと読者の眼前に出現することはふしぎである。・・・・・
一九七四年三月一一日
佐貫亦男
2
は し が き (抜粋)

『 ヒコーキの心 』 続編を世に送り出すことになった。ありがたいことである。読者のかたがたに感謝し、かつ、おおば比呂司先生の絵筆に厚くお礼を申し上げたい。お寄せ下さった読者の感想に、挿絵の中から雲が流れ、風が吹いてくるようだとの一節があった。そのとおりと私も感じる。文章はその絵を飾る額縁にすぎない。
ここに盛ってある内容は、ヒコー手と人間とのかかわりあいである。ヒコーキが人間に感動を与えるわけは、生存圏の外へ進出し、したがってなにかあれば死がすぐ近くにいる緊迫感のためである。それにしても、空のなんと美しいことであろう。青空で雲と遊ぶ晴天巡航、雨が翼でしぶきと散る荒天突破、闇に地上灯火がうるむ夜間飛行、いずれのときでも、無事着陸すればほっとする。それでいて、またヒコーキに乗りたくなる。

戦争は空の危難と、人間が自分で作った苦難との二重苦である。それを受けて戦った空の戦士たちの像を描いても、けっして戦争賛美にはつながらぬ。彼らはいうにちがいない。自分たちだけでたくさんだ、もう二度とくりかえすなと。しかし、忘れてくれとはいわないであろう。・・・・・
一九七五年一月十五日
佐貫亦男
3

は し が き (抜粋)

『 ヒコーキの心 』 も第三巻になった。ここまでくると、どこまで続くだろうかという気になる。そのためには読者のかたたちの心に訴えるものを書くことが第一で、同時におおば比呂司先生の絵筆のご援助を得なければならない。

フランスにモーリス・ユトリロという画家がいた。初めから終りまで建物を描き、パリの裏町のなんでもない家なみを追い続けて死んだ。なぜ建物だけに興味があるのかと聞かれたとき、それは生活の匂いがしみついているからだと答えた。

ヒコーキにもそれを設計した設計者、それに乗って命をかけた乗員たち、得心がいくまで整備した整備員たち、いってらっしゃいとパイロットを見送る地上勤務員たち、そのほか多勢の協力者の努力がまとわりついているっこれが文章になり、絵にならないはずがない。・・・・

一九七六年八月一四日
佐貫亦男


光人社文庫版

赤い翼 リヒトホーヘン








ヒコーキの心 目次
1 翼の誕生から大戦間の谷間まで
千回の滑空 ライト兄弟
ややこしい機名 ドペルデュサンとスパッド
棺桶とろうそく ナンジュッセール
御家人剣法 ニューポール一葉半戦闘機
赤い翼 リヒトホーヘン
赤い被害 リヒトホーヘン
消えた伴星 フォッカーDZ戦闘機とプラッツ
空飛ぶカミソリ フォッカーD[戦闘機
二流の誇り ファルツDV戦闘機
空飛ぶコマ ジーメンス・シュッツカートDV戦闘機
由緒ある爆撃機 ゴータ重爆撃機
危険なラクダ ソッピース・キャメル戦闘機
ティぺラリーの翼 S・E・5A戦闘機
けんかカマキリ ブリストル・ファイター複座戦闘機
熱血詩人の強行飛行 ズバ高速偵察機
猿六村 サルムソンSAL・2−A2偵察機
どこにでもいるジェニィ カーチスJN練習機
線のプレゲー ブレげー19偵察機
真紅のドラム罐 ブレげー・スーパービドン長距離機
ジンクス号の最期 ジービー競争機
フライ・バイ・ワイヤ ボーイングP26戦闘機
トンボ家族 ドラゴン・ラピード軽輸送機
七つの窓 ダグラスDC-3輸送機
五月の翼 航研機
アブの歯ぎしり イ-16戦闘機
七面鳥の虐殺 ユンカースJu52/3m輸送機

美しい中攻 96式陸上攻撃機
艦攻発進 97式艦上攻撃機
女性向きの飛行機 95式3型練習機
偉大なる妥協 アブロ・ランカスター重爆撃機
地獄から来た蚊 デハビランド・モスキート偵察機
ひるまぬドーントレス ダグラスSBD攻撃機
ネコの系図 グラマン・ヘルキャット戦闘機
雷電物語 リパブリックP47サンダーボルト戦闘機
暗殺者 ロッキードP38ライトニング戦闘機
寒い銃座 ボーイングB17重爆撃機
慈悲のカタリナ コンソリデーデットPBY哨戒飛行艇
蒼ざめたタカ S・M79爆撃機
汚らしい戦闘機 ヤク1型戦闘機
スターリングラードの救世主 ラ5型戦闘機
シュトルモビク イリューシンU-2型地上襲撃機
ツバメの変身 三式戦闘機飛燕
ビルマの通り魔 100式司令部偵察機
坂井三郎空戦記
大艇二代 二式哨戒偵察飛行艇
葉巻の夢 一式陸上攻撃機
天翔ける龍 四式重爆撃機
モズの孤独 フォッケウルフFW190戦闘機
コウノトリの冒険 フィーゼラー・シュトルヒ偵察機
野馬の遠乗り ノースアメリカンP51ムスタング戦闘機
ゼロ戦殺し ボート・F4U-1コルセア艦上戦闘機
凶悪の記録 ボーイングB-29重爆撃機
むなしい疾風 四式戦闘機疾風
熱い彗星 メッサーシュミットMe163戦闘機
薄暮のスズメ ハインケルHe162ジェット戦闘機
雲上の要塞 ボーイングB-52爆撃機
ジェットの夜明け ボーイング707輸送機
快走カラベル シュドアビアシオン輸送機
星の戦闘機 ロッキードF104戦闘機
安全ジャンボ ボーイング747輸送機
三つ星 ロッキードL-1101輸送機
大胆な塗装 ダグラスDC-9輸送機
2 張鼓峰爆撃から大量輸送まで
貴族の装い ユンカース急降下爆撃機
腰抜けハゲタカ フォッケウルフ・コンドル輸送機
死の床 ハインケルHe111重爆撃機
軽戦の思想 コードロンC714軽戦闘機
タラントの勝利 フェアリ・ソードフィッシュ艦上攻撃機
提督の帽子 ウェストランド・ライサンダー直協機

寒い銃座 ボーイングB17重爆撃機





葉巻の夢 一式陸上攻撃機

天翔ける龍 四式重爆撃機


 ヒコーキの心 目次
1 英仏海峡横断から海洋飛行の終末まで
自転車的飛行機 ブリレオ\単葉機
重い水と高い雲 ショート184水上偵察機
単葉嫌い ブリストルM・1単葉戦闘機
凍えるナセル デハビラントD・H・2戦闘機
空カセンス デハビラントD・H・5戦闘機
燃える棺桶 デハビラントD・H・4 D・H・9爆撃機
象印戦闘機の武勇伝 マーチンサイドG100戦闘機
血まみれの四月 アロバトロス戦闘機
ハルツにて ハルバーシュタットCLU地上攻撃機
沈むクジラ ローラントCU偵察機
折りびなのアンリオ アンリオHD-1戦闘機
ニューポールの迷機 ニューポール28戦闘機
美の原点 ブレげー14爆撃機
濃緑の甲四 甲式四型戦闘機
シャモの逆毛 グロスター・ゲームコック戦闘機
ブルドッグのあくび ブリストル・ブルドッグ戦闘機
片眼鏡男爵の逆横断 ユンカースW-33L輸送機
トロフィの護り スーパーマリンS・6B競速機
化けガ(蛾) デハビラント・モスシリーズ
美しい尻のミス・コロンビア ベランカW・B・2輸送機
合板の弾丸 ロッキード・ベガ輸送機
不運なエレクトラ ロッキード・エレクトラ輸送機
超エースの実在 第二次大戦エースと撃墜数
かぶら矢のマッキ マッキMC200サエッタ戦闘機
小雷電 レジャーネRe2000戦闘機
三〇〇〇の吹き矢 SA-207軽戦闘機
下駄のホーク カーチスP-40戦闘機
コブラの執念 ベルP-39エアロコブラ戦闘機
米国版シュツーカ
 カーチスSB2Cヘルダイバー急降下爆撃機
復讐者 グラマンTBFアベンジャー艦上雷爆撃機
納屋の戸
 コンソリーデーデットB-24リベレーター重爆撃機
黒の喪服
 ノースロップP-61ブラック・ウィドゥー夜間戦闘機
流浪のドポワチーヌ ドポワチーヌD520戦闘機
と金の王手 ペトリャコフPe-2爆撃機
名設計者の追憶 96式艦上戦闘機
ゼロ観 零式水上観測機
嵐の前の紫電 迎撃戦闘機紫電
カブ物語 ティラー・カブ軽飛行機
カンベラの恩がえし
 イングリッシュ・エレクトリック・カンベラ爆撃機
優雅なナセル ビッカース・バイカウント輸送機
クマの思想 ツポレフTu-20爆撃機とTu-144輸送機
撓む翼の雲上ジェット
 ボーイングB-47ストラトジェット爆撃機

覆面の機体 U-2とA11戦略偵察機
働らき者の人助け
 ロッキードC-130ハーキュリーズ輸送機

雷王の腰くだけ
 リパブリックF-105サンダーチーフ戦闘機

幽霊の季節 マグダネルF-4ファントム戦闘爆撃機
汚れた銀河
 
ロッキードC-5Aギャラクシー戦略輸送機
しんきろうの金もうけ ミラージュシリーズ戦闘機
友愛の翼 フォッカーF・27フレンドシップ輸送機
スイス生まれ ピラトゥス・ポーター軽輸送機
ゲタ箱と靴ベラ
 ショート・スカイバンと
   デハビランド・カナダ・ツインオッター軽輸送機

軽いフォルム 世界の軽飛行機
ジェットのフォルム 世界のジェット・ビジネス機
壁を抜けるとき X-15超音速実験機
 剣の翼から超音速機まで
悲運の剣士 グロスター・グラディエーター戦闘機
無暴な複座戦
  ボルトン・ポール・デファイアント複座戦闘機

戸の崇り ショート・スターリング重爆撃機
セイウチの牙 ウォールラス水陸両用飛行艇
ダンディ公の墜死 ショート・サンダーランド飛行艇
あらし一家 ホーカー・タイフーン戦闘機
青いカモメ P・Z・L・P24戦闘機
湖のほとり ビュッカー・ユングマン練習機
駆逐機の悲哀 メッサーシュミットBf110駆逐機
暗い一章 ハインケルHe177重爆撃機
足りないカン切り ヘンシェルHs129地上襲撃機
痩せたミミズク ハインケルHe219夜間戦闘機
羽根が重いツバメ
 メッサーシュミットMe262双発ジェット戦闘機
遠いいなずま アラードAr234双発ジェット爆撃機

96

鉛筆に堀越設計者HORIまで入っている
名設計者の追憶  続ヒコーキの心 203頁
          
・・・・(前略)
九試単戦がいよいよ艦載機としての条件を追加して、九六艦戦として総数約1000機生産され、日中戦争に重要な貢献をした。
この侵略戦争を弁護する理由はひとつもない。
しかし、帝国主義を憎むあまり、九六艦戦まで葬ってはなるまい。もし、政体が変れば、堀越さんのような設計者は疑いなく労働英雄となって、金星章を授けられることは確実である。
日中戦争で九六艦戦は、南郷大尉、源田サーカスの間瀬兵曹長、敵機と空中衝突して左翼を半分失なってなお基地へ帰還した樫村兵曹機(戦前遊就館に飾られた)などの武勲と結びついた。この人たちだって、人民義勇軍の航空部隊のエースとなるのであろう。
堀越さんは三菱航空機に重大な貢献をしたのに、いかにその報われることのすくないことであろう。このような技術者にとっては、あるいは政治形態に変更があったほうが恵まれる社会かも知れない。もっともこれは物的な面を述べているだけで、技術者としては無形の報いで充分満足があろう。


続々 ヒコーキの心 目次
1 英仏海峡の負けイヌから小型日ソ戦まで
娘のつばさ アントワネット単葉機
へそ曲がりロベール REP単葉機
直線カーチス
 カーチス
ゴールドン・フライヤー複葉機
ハトの使命 タウベ単葉機
優雅な殺し ブリストル・スカウト戦闘機
アブロの武勲 アブロ504型練習機
フォッカーの誕生 フォッカーE型単葉戦闘機
勝てば官軍 ブリストル・ボーファイター複座戦闘機
ホイットリは鼻曲がり
  アームストロング・ホィットワース・ホィットリ爆撃機

恐ろしい鉛筆 ハンドレページ・ハリファックス爆撃機
続かぬつむじ風
 ウェストランド・ホワールウィンド戦闘機
石頭の戦闘機 メッサーシュミットBf109戦闘機
不発の雷電 迎撃戦闘機雷電
dj
J・1のロールアウトは1915年12月12日で、軍の実用試験はベルリン郊外のデベリッツで行なわれた。テストはルンプラーC・T複葉と比較しながら行なわれたことがそもそも不利であった。
翼面荷重が大きく馬力荷重の小さいJ-1の不利はすでに予期されたとおりになった。中翼単葉ではあったが、山形またはI字形鋼板ガーダーで骨組みを作って薄鋼の外板張りであったから、小破損でも修理は木製機のように簡単でなかった。操縦の面からは、上昇が遅く、下方視界が悪くて、はなはだ不評判であった。
だれがつけたかは知らないが“空飛ぶ小便つぼ”つまりベルリン公衆便所の波板便器連想で出たあだ名は、いかにもドイツ人らしい品の悪いものであった。しかも、またパイロットたちの教授に対する反発を表わしているようでもある。・・・・
空飛ぶ小便つぼ ユンカースJ型戦闘機


風の中のゴリアト ファルマンF-60ゴリアト輸送機
白鳥号の最後 ルバッスールPL-8長距離機
フランスの腐り始め フランス軍用機
賢明な変針 ソッピース・アトランチック長距離機
ホーカーの名機 ホーカー・ハート軽爆撃機
よき時代の旅客機 ハンドレページH・P・4245輸送機
赤い流星 デハビラントD・H・88コメット競速機
あほうでなかったアホウドリ
 デハビラントD・H・91アロバトロス輸送機
ロールバッハの皮 ロールバッハ飛行艇
クジラのタコ坊主 ドルニエDoJワール飛行艇
虹の帯 アルカンシェール長距離郵便機
カモのきも 迎撃戦闘機震電
機関車は死なず ヘンシェルHe123急降下爆撃機
混血の万能機 ユンカースJu88万能機
忙しい小ミミズク フォッケウルフFw189偵察機
サン・トロンの幽霊 ドイツ夜間戦闘機エース
未練の十字矢 ドルニエDo335ブファイル戦闘機
イタリアの若タカ フィアットCR42ファルコ戦闘機
将軍の軽爆 ノースアメリカンB25ミッチェル爆撃機
鍾馗の衣 二式戦闘機鍾馗
雲の垂れた沖合 三菱MC-20輸送機
腰の低い直協 九八式直協偵察機
斜めの月光 夜間戦闘機月光
is
サボイア・マルケッティS55型双発単葉飛行艇は粋な姿である。私はこの機体を眺めるたびに、歌舞伎の助六を思い出す。
すなわち、厚い主翼が助六の着物、裸の串形エンジンとラジエータが助六の開いたふところとはちまき、二枚の垂直安定板と中央方向舵が助六の両足と脱げた片方の足駄、大きい双艇体はおいらんのぽっくり、などと想像すると楽しい。
裸の串形エンジンとは、二台のエンジンをむき出しにして前後にならべ、前面に両エンジン用のラジュータはあるが、下部を簡単に包んであるだけで、上面にはカバーがない。どうしたことだろうと首をかしげる人は、イタリア人のセンスを知らない。イタリア人はこのような肌ぬぎ的センスが好きで、たとえばイタリア製スクータを見るがよい。エンジンにカバーはなく、したがってうっとうしさが消えている。・・
助六的飛行艇 サボイア・マルケッティS55飛行艇





真紅の機体 マッキ・カストルディMC-72水上競速機
自動車王の胸の内 フォード・トライモーター輸送機
足切りベランカ ベランカ“ミス・ビードル”長距離機
ワコは残った ワコ各型機
よろめきの翼 ビーチクラフト17輸送機
蘇州上空の空中戦 ボーイング複葉戦闘機
手慣れた図面 94式水上偵察機
ヒバリの九七戦 97式戦闘機
落魄のモラーヌ モラーヌ・ソルニエMS406戦闘機
嵐に挑む傘 ホーカー・ハリケーン戦闘機
スピットファイアの魔術
 スーパーマリン・スピットファイア戦闘機
エリートの蛇行 エアスピード・オックスフォード練習機
色あやなす雲 艦上偵察機彩雲
国破れて銀河あり 陸上爆撃機銀河
音速突破イーガー ベルX-1実験機
地球を爆撃する恐竜 コンベアB-36爆撃機
細い翼端 コンベア・メトロポリタン輸送機
星座の貫録 ロッキード・コンステレーション輸送機
空の優等生 ダグラスDC-6B輸送機 
運送屋の芸当 アメリカの軍隊輸送機
ミグ街道の待ち伏せ ミグ15戦闘機
サーベルの冴え ノースアメリカンF-86戦闘機
エレクトラの再婚 ロッキード・エレクトラ二世輸送機
黒星と妖霊星 ロッキードU-2とA11偵察機
アップダウンの727 ボーイングB727輸送機
ハトの生んだタカ
 ダグラスA-4スカイホーク艦上攻撃機

強行突破ジャガー SEPECATジャガー地上攻撃機
双尾の大ネコグラマンF-14トムキャット戦闘機
怒った大黒さま フェアチャイルドA-10A地上攻撃機

2 フランス壊滅から新戦術機まで
スズメバチの二本針
 メッサーシュミットMe210複座戦闘機




将軍の軽爆 ノースアメリカンB25ミッチェル爆撃機
ノースアメリカンB25ミッチェル双発軽爆の機名は、1920年代初期のアメリカ陸軍のミッチェル大佐にちなんで命名された。彼は強烈な空軍支持者であったが、あまりにも激しい言動のため、軍法会議にかけられて退職し、死後になって准将に昇進した異色ある人物である。
また軽爆といっても、最後の型は全備重量が一五トン以上もある大型機で、日本陸軍最後の爆撃機飛龍より重いから、日本の尺度では完全に重爆である。こんなことを考えただけでも日米間の戦力差が感じられる。
とにかく、B25は約一万機生産されて、第二次世界大戦のいずれの双発爆撃機よりも数は多かったが、イギリスやソ連などにも支給されたため、アメリカ空軍としてかためて使った機数はそんなに多くないが、それでも二七〇〇機ぐらいあった。・・・



sakai




坂井三郎空戦記 207p

ゼロ戦の設計者堀越二郎さんは10年ほど前に(昭和37〜38年頃?)工学博士になった。六〇歳に近くなってから論文を書き始めて東大に提出したのである。論文の題は“人の操縦する飛行機の飛行性の改善に関する研究”というものだが、要するに昇降舵を操作する操縦桿や操縦索を従来よりはるかに撓みやすくした考案である。こんなことは、振動を発生したり、舵が遅れたりして悪結果を生じるものとして従来禁止されていた。
堀越さんは信じるところがあって、ゼロ戦を設計するとき、わざとこの剛性低下方式と呼ばれる、撓みやすい操縦系統を採用してみた。その結果は予想外の好成績であった。これまでの設計法によると、飛行機が低速のときによく舵が利くようにしておくと、高速のときには利きすぎる。さりとて、高速のとき利きが適当なようにすると、低速で利きが悪くなる。
剛性低下方式で設計した舵は、低速でも高速でも、操縦者が操縦桿を同じ量だけ動かすと同じような運動が始まる。これがゼロ戦のように細かい舵を必要とする機体とマッチして、あの戦果を挙げた。

戦争がすんでも、堀越さんはなんとかこの結果を学問的に解明して世に出したいと考えていた。三菱重工に勤めるかたわら東大の航空研究所に席を置き、理論的な計算を開始した。
学位論文などというものは、若いうちに片づけておくべきで、年をとればとるほどおっくうになる。よくやったものである。

堀越さんは日本航空学会の年会でその成果を講演した。そのあとに操縦者としての体験を語ってもらうために、有名なゼロ戦パイロット坂井三郎氏を招いてあった。

撃墜64機、現存最大のエースも演壇に立ったところを見ると、むしろ小柄な、どこにもいる初老の人物であった。まずチョークをとって、黒板に自機と敵機の記号を描いた。そして追撃コースの大きな半円をくるりと引くと、寸分たがわずぴたりと敵機の位置にチョークの先端が止まったのには、あっと驚いた。どうも偶然とは感じられず、名人の非凡さの現われのようであった。

堀越さんの講演に対する話は僅かで、確かに設計者のいうとおりであったと認めた。戦闘機の場合、もっとも重要なものは昇降舵で、補助翼などは利きが少々過不足でも射撃に悪影響はないともつけ加えた。それよりも夕食の雑談のほうがおもしろかった。

まず私が質問したことは、なぜ『坂井三郎空戦記録』が薄い上下の2巻になっているのかであった。答えによると、できるだけ若い少年たちに読んでもらうため、分けて買えるようにしたということだった。よく考えてある。

空戦の話に入った。敵機群の中から一機を選んで格闘戦に入るのだが、他の敵機に気が移ると、かならず失敗するという。二兎を追う者は一兎をも得ずのことわざどおりだ。また坂井さんは若いパイロットたちに、敵を射撃する直前に一度背後を振りかえって見ろと教えているが、実はそんなことをするとまず敵を逃すことになりますといった。それでも、自分が撃墜されるよりはましだからこの教訓は意味がある。

気配で背後に敵機のいることがわかりますかという質問に対しては、不可能だと断言した。剣豪が感じる殺気のようなものは空戦では存在しないらしい。
ポイントはつぎのようであった。
最初に敵機群の中から一機を選ぶとき、それと空戦を行なって仕とめた瞬間に他の敵機が自分の背後へまわりきらぬような位置にあるものを決めるという。深い合理的な読みである。
相手の腕にもよるが、水平旋回を三回もやるとまず敵機の背中に密着することができるらしい。こんなときの微妙な舵の使いかたは設計者にもわかりますまいと笑った。
よい設計者の製図板を離れた飛行機は、新しい生命を得て操縦者の身体の一部になるのだ。坂井さんの言葉を借りると、ゼロ戦の両翼端は伸ばした両手の中指のように、プロペラ・スピナの先は額のように、操縦者の意のままに運動をする。設計者にとって、これ以上の嘗め言葉はちょっとないであろう。

最後に印象に残ったのは、日本人が戦闘機乗りとして適当な人種ではないという坂井さん自らの結論だった。
これはまったく考えていないことであった。
日本人は興奮しやすくて空戦のように冷血な闘いに向かず、またあきらめやすい性質のため最後まで生き抜く執念に不足があることが原因である。
空戦に限らず、近代戦を生き抜くためには、サクラのように散ることは禁物らしい。



「航空情報」(昭和30年代)付録より


嵐に挑む傘 ホーカー・ハリケーン戦闘機 石頭の戦闘機 メッサーシュミットBf109戦闘機

スターリングラードの救世主 ラ5型戦闘機 モズの孤独 フォッケウルフFW190戦闘機

スピットファイアの魔術
 スーパーマリン・スピットファイア戦闘機
勝てば官軍 ブリストル・ボーファイター複座戦闘機


ホイットリは鼻曲がり
  アームストロング・ホィットワース・ホィットリ爆撃機
恐ろしい鉛筆 ハンドレページ・ハリファックス爆撃機


国破れて銀河あり 陸上爆撃機「銀河」 混血の万能機 ユンカースJu88万能機



スズメバチの二本針
 メッサーシュミットMe210複座戦闘機
未練の十字矢 ドルニエDo335ブファイル戦闘機


鍾馗の衣 二式戦闘機鍾馗 不発の雷電 迎撃戦闘機雷電

色あやなす雲 艦上偵察機彩雲 ビルマの通り魔 100式司令部偵察機



斜めの月光 夜間戦闘機月光 サン・トロンの幽霊 ドイツ夜間戦闘機エース

消えた伴星 フォッカーDZ戦闘機とプラッツ 危険なラクダ ソッピース・キャメル戦闘機

空飛ぶカミソリ フォッカーD[戦闘機 五月の翼 航研機


ジンクス号の最期 ジービー競争機 フライ・バイ・ワイヤ ボーイングP26戦闘機


凶悪の記録 ボーイングB-29重爆撃機

撓む翼の雲上ジェット
 ボーイングB-47ストラトジェット爆撃機

地球を爆撃する恐竜 コンベアB-36爆撃機 雲上の要塞 ボーイングB-52爆撃機

ミグ街道の待ち伏せ ミグ15戦闘機 サーベルの冴え ノースアメリカンF-86戦闘機

星座の貫録 ロッキード・コンステレーション輸送機 空の優等生 ダグラスDC-6B輸送機

遠いいなずま アラードAr234双発ジェット爆撃機

羽根が重いツバメ
 メッサーシュミットMe262双発ジェット戦闘機

七つの窓 ダグラスDC-3輸送機 腰抜けハゲタカ フォッケウルフ・コンドル輸送機

下駄のホーク カーチスP-40戦闘機 コブラの執念 ベルP-39エアロコブラ戦闘機

コウノトリの冒険 フィーゼラー・シュトルヒ偵察機 ゼロ観 零式水上観測機

七つの窓 ダグラスDC-3輸送機 七面鳥の虐殺 ユンカースJu52/3m輸送機


貴族の装い ユンカース急降下爆撃機 ひるまぬドーントレス ダグラスSBD攻撃機

アブの歯ぎしり イ-16戦闘機 シュトルモビク イリューシンU-2型地上襲撃機

美しい中攻 96式陸上攻撃機 艦攻発進 97式艦上攻撃機

偉大なる妥協 アブロ・ランカスター重爆撃機 地獄から来た蚊 デハビランド・モスキート偵察機

米国版シュツーカ
 カーチスSB2Cヘルダイバー急降下爆撃機
復讐者 グラマンTBFアベンジャー艦上雷爆撃機


ネコの系図 グラマン・ヘルキャット戦闘機 雷電物語 リパブリックP47サンダーボルト戦闘機

タラントの勝利 フェアリ・ソードフィッシュ艦上攻撃機 暗殺者 ロッキードP38ライトニング戦闘機

死の床 ハインケルHe111重爆撃機 蒼ざめたタカ S・M79爆撃機

慈悲のカタリナ コンソリデーデットPBY哨戒飛行艇 大艇二代 二式哨戒偵察飛行艇

ツバメの変身 三式戦闘機飛燕

野馬の遠乗り 
ノースアメリカンP51ムスタング戦闘機



ゼロ戦殺し ボート・F4U-1コルセア艦上戦闘機 幽霊の季節 マグダネルF-4ファントム戦闘爆撃機

暗い一章 ハインケルHe177重爆撃機

納屋の戸
 コンソリーデーデットB-24リベレーター重爆撃機